お知らせ

月刊FLOM(フロム)3月号に掲載されました(抜粋)

2007/02/25

(財)ふくい産業支援センター発行のビジネス情報「月刊FLOM(フロム)2007年3月号」に当社インタビュー「漆器の復権かけ独自ブランド創出」が掲載されましたので抜粋してご紹介いたします。

→月刊FLOM掲載内容のダウンロードサイトはコチラ
http://www.fisc.jp/flom.php

「“顧客の目線”を持つことが デザイン力アップのカギに」

本当に美しいモノは、機能にまったく無駄がない。無駄がないから美しい――自身のデザイン観をそう言い切る山本氏。「『Kasane』はデザイン性を重視したブランドですが、新奇さだけを求めたわけではありません。デザインはあくまで機能に基づくもの。源流は、古くから残る器の“かたち”にあるんです」。多くの消費財においてデザインのあり方が再認識され、デザイナーの名を冠した商品も増えてきた昨今。ともすれば、見た目先行になりがちな潮流に対し、鋭く問題提起します。
一方で山本氏は、商品の見せ方や販売方法などもデザインであると力説。「ビジネスの成否は、総合的なデザイン力が握っています。しかしそれは、有名なデザイナーや成功者と組めば自ずとできるものでもない。キーワードは“お客さまの目線”。自分も、一緒に組む人々も、この目線を持てることが大切ではないでしょうか」

「商品展開を進める上では 説明責任の強化も重視」

総合的なデザイン力は、マーケティングにもつながる考え方です。しかし地方のメーカーにとって、周到なマーケティングには人的・金銭的な負担が大きな壁となることも否めません。
そこで同社では、料理研究家やテーブルコーディネーター、販売店のバイヤーなど、使い手の視点を備えた人材をアドバイザーに起用。ブレーン選びに“選択と集中”の視点を投入することで、費用対効果の高いマーケティングを行っています。開発過程では、プロトタイプ製作→アドバイザーによる評価→修正……というプロセスを反復。伝統的な形と新奇さを絶妙に織り交ぜながら、細部を調整していきます。
また同社では、デザイン力だけでなく、作り手における説明責任の強化にも注力。「製品のアピールもさることながら、漆器の成り立ちや製造過程、手入れ法などを事細かに説明することはもっと重要。『Kasane』を売る上では、そういう情報もできる限り提供していきたい。説明責任をきちんと果たしているメーカーだ、というイメージを定着させたいんです」

「自然への優しさも訴えて 漆器市場の復活を目指す」

「説明責任を果たす」。その言葉を裏付けるかのように、公式ウェブサイトでも、Q&Aなどのコンテンツを充実させています。「毎週金曜日には漆に関するコラムを更新しています。とにかく発信し続けることが大切だと思って。(併設する)オンラインショップより、力を入れているといっていいかもしれませんね(笑)」。メルマガなど、プッシュ型の告知は特に行っていないものの、大都市からのアクセスを中心に、閲覧数も順調に伸びているといいます。
県内外での販売活動を通じて、漆器に対する潜在需要の手応えを実感している、と話す山本氏。「自然環境への関心の高まりが、昔のような“いいモノを長く使う美意識”の復活を後押しすると思っています。漆器は修理のきく器。そんな器があるのだ、ということを、長い時間をかけてゆっくり浸透させていければ」
生活者側に立つモノづくりをして、漆の魅力を伝える努力を実直に続ければ、停滞気味の市場も必ずよみがえる。漆器の復権にかける、山本氏の熱い語り口が心に残りました。

(財)ふくい産業支援センター発行「月刊FLOM(フロム)2007年3月号」
デザインで会社が変わる~顧客視点に立った商品開発こそ成功の近道~
より