手塗り仕上げの漆のお箸 Vol.53~56

「八角箸」

061201こんにちは、千次です。前回までは、お正月用意の漆器をご紹介いたしましたが、忘れてならないのは、器とともに使うお箸のことです。お箸は正月に買い換える方が大勢いらっしゃいます。日本人なら毎日でも使うものなので、個人で持つ漆の商品としては一番身近なものかもしれませんね。
お箸に塗られている塗料には、漆を用いたものから、比較的安価な合成塗装のものまで、また、加飾にも、手描きのものから印刷のもの、和紙をつけたものまで幅広くあります。
日本の塗り箸の生産地としては、同じ福井県の若狭・小浜の「若狭塗り箸」が有名ですが、ここ越前でも、下地からしっかり作りあげる器づくりのノウハウを活かした手塗りの越前塗り箸を生産しています。
当社では、新商品として「越前塗り 八角箸」を開発いたしました。軽い素材のヒノキを使い、越前塗りの職人が1膳ずつしっかり下地を施して仕上げるなど大変手間のかかった商品です。「軽さ、持ちやすさ、漆独特の風合い」の3拍子がそろっていて、お客様から大変人気がある商品です。
全体に八角の角があるため、手の指にしっかりフィットします。色は溜色で、角の部分が透けているために赤みを帯びた線が見え全体的に美しく仕上がっています。ヒノキに下地が施された漆塗りなので口当りも柔らかで堅牢です。「八」には「末広がり」の意味があるので縁起もいいですね。このお正月から、ぜひ「八角箸」はいかがですか?

「塗り方」

061208福井の山沿いでは今年も雪が降り始めました。市街地からは遠くに「越前富士」と呼ばれている「日野山」という山が見え、山頂のあたりが白くなっています。綺麗だな、と思う反面、雪かきの苦労を考えると、産地のある平野部にはあまり積もって欲しくないのが本音でしょうか・・・。 さて、前回は、越前塗りの漆のお箸についてご紹介しましたが、今回は「お箸の塗り方」についてご説明します。
重箱やお椀など、お箸以外の漆器は通常、表と裏、内側と外側など二つの面があり、一度に全体を塗ることが出来ません。おおよその漆器は、まず一方の面にツクと呼ばれる棒状のものをくっつけて器を持ち、もう一方の面を塗ります。塗り上げた面が乾いたらツクを付け替えて、もう一方の面を塗ります。全体を塗り上げるまでに最低二回は必要だということです。(第27回「ツクと返し」ご参照)
お箸の場合は、ツクを使わずに塗りますが、塗り方には大きくわけて二つの方法があります。一つは、木の素地段階でお箸の持ち手部分の先を長めにしておき、その部分を持って塗る方法です(写真1)。乾燥したら長めにした部分を切り取り、切り取った先端部分を塗って仕上げます。この方法は、比較的工程が少なくすみますが、漆を塗る先端部分の面積が小さいので、商品によっては先端の塗りが剥がれやすいという欠点があります。
もう一つの方法は、箸の真ん中、または先の方で1回目と2回目の塗りわけをする方法です。塗り分けているので、塗りの境目ができるのが特徴です(写真2)。大変手間がかかりますが、漆の剥がれはありません。前回ご紹介した「八角箸」はこの方法で丁寧に塗り上げています。お手許の漆のお箸がどちらの方法で塗られているか、ぜひチェックしてみてくださいね。

「My箸」

秋が通り過ぎても食欲はなくならない毎日です。寒くなると、朝は温かいお味噌汁、お昼はお弁当に温かい日本茶、そして、夜は越前ガニ入りの海鮮鍋が格別です。海の幸が豊かな福井の海鮮鍋に、すこし日本酒を入れると風味が良くなるので、機会がありましたらぜひお試し下さい。
さて、お箸といえば、最近「My箸」がちょっとしたブームになっています。自分用の持ち歩き用のお箸のことで、外食をする際に「割り箸」を使わずMy箸でいただくというものです。
「割り箸を1回使って捨ててしまうのはもったいない」という気持ちでMy箸を使いはじめれば、使い捨てのライフスタイルを見直すきっかけになるし、自然環境保護にも繋がります。また、「割り箸よりも食べやすい」とか、「サッと素敵なお箸を取り出すことで、一緒に食事をする方にさりげなく自慢できる」など意外なメリットがあり、食事をより楽しむことができます。
また、持ち歩く際の箸箱にもこだわってみてもよいかと思います。お箸は場所をとりません。鞄の中に自慢のお箸を一膳入れてみてはいかがでしょうか?
061215

「こだわりの箸」

061222そろそろ師走の忙しさが色々なところで見られます。年末の大掃除や年賀状、迎春の準備に忘年会、そして年がかわれば新年会・・・楽しみもまた引き続き待っています。外食する機会も増えますが、忘年会や新年会には、割り箸を使わず「(前回ご紹介した)My箸」をぜひご準備ください。
さて、先日、ちょっと仕事を離れて、百貨店のお箸売り場に行ってきました。「ウレタン塗装の箸」、「漆塗りの箸」、「プラスチックの箸」、「竹の箸」、「紫檀・黒檀の箸」、珍しいところでは「チタン・アルミ製品の箸」が並んでいました。売り場では漆風の塗装で安価な「ウレタン塗装の箸」が主流ですが、口に運ぶものなので、私共としては、やはり天然漆のお箸をおすすめしたいと思います。
当社では、オリジナルのお箸も製作しています。木製漆塗りのお箸に、お好きな文字や絵柄を彫り、金・朱・黒で色付けするものです。写真のお箸は、福井県の音楽グループ「楽衆玄達」さんの名前入りお箸です。グループのファンの方むけに製作した限定商品です。こだわりのオリジナル箸をつくってみませんか?
(宮川千次)

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