漆器ができるまで
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素地

漆器には木製品と合成樹脂製品があり、それぞれ器のかたちのもとになる素地の作り方が異なります。木製品のうち、椀などの丸物は、天然木をロクロで回しながら削って形をつくります。なお、天然木は大雑把な形のまま6ヶ月から1年じっくり乾燥させたうえで加工します。箱、盆などの角物(板物)は、板の状態で約1年乾燥させた天然木や漆器用合板などを裁断し、削り込み、組み立てます。
一方、合成樹脂製品は、木や合成樹脂の粉を機械で熱加工してつくられます。

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塗り

塗りの工程は、下塗りと上塗りとに分けられます。下塗りは、製品の表面には出ませんが漆器の強度など品質を左右する大切な部分で、「塗り」、「乾燥」、「研ぎ」を何度も繰り返します。上塗りは、均一の厚さに仕上げる熟練の技に加えて、漆を乾燥させるための一定の温度、湿度を維持するデリケートな環境が必要です。よって下塗りから上塗りまでは3ヶ月以上の期間が必要です。
塗りの方法は、器の形などに応じて、はけを使った手塗りのほか、スプレーガンを使って塗料を吹き付ける方法があります。

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加飾

漆器を彩る加飾はさまざまで、伝統的なものとして蒔絵(まきえ)と沈金(ちんきん)があります。蒔絵は、筆に漆を含ませて模様を描き、そこに金粉・銀粉などを蒔(ま)きつけ、研ぎ・磨きを繰り返してつくりあげます。沈金は、刃物で絵柄を彫り、その彫り跡に金箔・銀箔、金粉・銀粉、顔料等を漆で接着させ、仕上げていきます。加飾には、こうした手間のかかる技法のほか、布のスクリーンの表面にインキをのせ、表から裏へインキを通過させて原画を刷り込むスクリーン印刷など、比較的容易で一度に多くの加飾ができる技法もあります。