漆×おもてなしのコーディネート

vol.10 お正月

「明けましておめでとうございます。」
歳神様をお迎えする元旦の食卓は、家族そろっての清々しい挨拶から始まります。
まずは、梅干し、昆布、山椒を入れた大福茶を一杯頂き、新しい年の無病息災を祈ります。
私の育った家庭では、その後、父から順番に母、子供達へと小さな盃でお屠蘇を頂くのが習慣でした。この時ばかりは子供達も少しだけお酒を頂くことが許され、決しておいしいとは思えないものの‘お正月の特別な飲み物’として頂き、背筋の伸びる想いでした。
お正月に欠かせない三つ肴(黒豆・数の子・田作り)をゆっくりと頂いていると、母がお雑煮を作ってくれます。我が家のお雑煮は大根や人参、鶏肉の入ったものでした。
元旦の食卓は、ひとつひとつが丁寧で、新しい年を迎える喜びがそこかしこに溢れていたように記憶しています。
日本に古くから伝わる神人共食の文化は、お正月にこそ親から子へと伝えるべきでしょう。
歳神様と共に囲む食卓で、新年を迎える喜びを共に分かち合いたいものです。

ワンポイント

テーブルの中央に置かれた総朱の重箱『Kasane HACO 風』を中心に、お正月の晴れやかできりりとした食卓をイメージしてコーディネートしました。
つややかな黒い角盆に、お正月に頂くお料理を順にセッティングしました。
雑煮椀は朱から黒へのぼかしが美しく、このテーブルの引き締め役となっています。
黒豆などの細かなお料理は、新商品の『SHIZUKU』や『TSUYU』に盛り付けるのも一案です。お料理を食べやすく、美しく見せてくれます。
また、大小のジョイントボックスと長角ジョイントトレーを使って、テーブル中央を飾りました。器としては勿論、折敷やトレーとして、自由な発想で幾通りもの使い方ができます。並べたり、ひっくり返したりしていると、色々なアイディアが浮かんできて、テーブルコーディネートをますます楽しくしてくれるアイテムです。

■ 今回ご紹介した商品はこちらからご購入できます。

『漆 × おもてなしのコーディネート』は、季節にあわせてテーマをかえながら漆器を使ったおもてなし、塗り物の上手な活かし方を写真を使ってご提案する山久漆工の新たな企画です。
テーブルコーディネーターとしてご活躍中の水谷美枝子さんがコーディネイト、文章、撮影を担当します。
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水谷美枝子(みずたに みえこ) テーブルコーディネーター
商品ディスプレイ、セミナー講師の他に、東京都三鷹市の自宅サロンにて、テーブルコーディネート&おもてなし料理提案サロン【Table meets style】を主宰。
都内では珍しいコーディネート実習中心のレッスンに注目があつまっている。
ブログ http://mstyletable.blog.fc2.com